ガラスのはじまり
1. ガラス製造のはじまり
ガラスがいつごろから作られているか、その始まりははっきりとは分かっていませんが、いまの所、多くの研究者が認めているもっとも古いガラスは、西暦紀元前25世紀ころ(約4500年前)に作られたものと考えられています。
最初にガラスが作られたと考えられている場所は、西ヨーロッパの人達によって「古代オリエント」と呼ばれている地方です。
もう少し具体的にいうと、メソポタミアという名で日本でも良く知られているチグリス川・ユーフラテス川の流域から、地中海東海岸(古代のシリア地方)に至る場所です。この一帯は「肥沃な三日月地帯」とも言われ、古代文明発祥の地の一つと考えられています。
エジプトで始まったと考える人達もいますが、最近では、エジプトのガラスはこのメソポタミア/シリアの地から伝わったという説が有力です。ただし、紀元前15世紀ころから始まったガラスびんなどの容器の製造では、エジプトは最も進んだガラス製造地帯であったようです。
2. ガラス製造の進化
紀元前1世紀ころ、「吹きガラス」の技法が発明されました。発明されたのは、古代シリアと考えられています。
吹きガラスは、細い鉄のパイプの先にとけたガラスを付け、息を吹き込んでガラスをシャボン玉のようにふくらませる方法で、いまでもガラスの成形、とくにびんや容器の製造に使われています(大量生産の場合は、もちろん機械化されています)。
この方法によってガラスの容器などが簡単に作られるようになり、1世紀くらいの間に、メソポタミア、エジプトに広がりました。
それまでのガラスは、たいへん貴重品でしたが、吹きガラスの方法が発明されてしばらくたつと、貧しいひとびとでも簡単にガラスのびんやコップが買えるようになったといわれています。
3. ガラス製法の伝播
ローマ時代には、ガラス製造は西ヨーロッパにひろがり、現在の国々でいえば、チェコ、ドイツ、ベルギー、フランス、イギリス、スペインなどに伝わり、それぞれに発展していきました。