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ガラス食器における強化ガラスについて |
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2009年10月1日 |
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ガラス食器には以下のような種類の強化ガラス製品があり、その性質の違いを解説してあります。ガラス製品が持つ性質の違いを十分に知っていただいた上でご使用ください。
ガラス食器の取り扱い上の注意は 「ガラス食器についての注意」(一般のガラス、クリスタルガラス、強化ガラスに共通の注意)をごらんください。
また、別項として台所用ガラス製品の「強化ガラス蓋」についても解説しました。こちらもよく読んでいただいて、その性質を十分に知っていただいた上でご使用ください。 |
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強化ガラスの種類 |
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強化の種類 |
内 容 |
家庭用品品質表示法上の名称 |
口部物理強化 |
物理強化により製品口部の表面に圧縮応力層を設け、口部の強度を増大したもの |
口部強化 |
口部イオン強化 |
イオン強化により製品口部の表面に圧縮応力層を設け、口部の強度を増大したもの |
口部強化 |
全面物理強化 |
物理強化により製品全面の表面に圧縮応力層を設け、製品の強度を増大したもの |
全面物理強化 |
全面イオン強化 |
イオン強化により製品全面の表面に圧縮応力層を設け、製品の強度を増大したもの |
全面イオン強化 |
全面積層強化 |
熱膨張係数の異なる2種類のガラスを三層に重ね合わせることにより製品全の表面に圧縮応力層を設け、製品の強度を増大したもの |
全面積層強化 |
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物理強化について |
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1. |
物理強化の原理 |
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物理強化はガラスを変形しない範囲で軟化する程度の温度まで加熱した後、急激に冷却し、表面に圧縮応力層を、内部に引張応力層を形成させる方法です。(図1) |
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(1) |
ガラスは一般物質と同様に加熱により膨張します.
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(2) |
急冷時,表面は急激に冷却されて,内部に向かって収縮しようとします.
しかし,内部はまだ予熱のために流動体となっており,収縮できません.
一時的に表面には引張応力(T)が,内部には圧縮応力(C)が働きます.
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(3) |
内部まで冷却されて固化する際には,表面はすでに完全に固化しており,収縮する事ができませんので,内部には引張応力(T)が,表面には圧縮応力(C)が働きます. |
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図1物理強化の原理 |
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2. |
物理強化の種類 |
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物理強化には、口部物理強化と全面物理強化があります。 |
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(1) |
口部物理強化 |
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加熱急冷によってグラス表面に圧縮応力を発生させて口部の強化のみを行なう方法です。 |
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(2) |
全面物理強化 |
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加熱急冷によってグラス表面に圧縮応力を発生させてグラス表面全体を強化する方法です。 |
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3. |
物理強化製品の特色 |
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(1) |
口部物理強化製品 |
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・ |
耐久性 |
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グラスの強度が弱い口部に対して強化を行なったもので(図2)、強化層(圧縮応力層)が約0.3mmと厚く、長期間使用しても使用中に付いた傷からグラスを守ります。 |
図2.グラス断面イメージ図 |
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・ |
安全性 |
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口部物理強化製品は口部のみを強化しているため、破損しても図3に示すように普通のグラスと同じような割れ方をしますので、破片が細片となって激しく飛び散るような問題はありません。 |
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図3.口部物理強化の破損時 |
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(2) |
全面物理強化製品 |
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・ |
耐久性 |
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グラス全体に強化層を施しているため、どこに(図4)衝撃が加わっても破損しにくくなっています。 |
図4.グラス断面イメージ図 |
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・ |
安全性 |
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全面物理強化製品は、耐久性は高くなりますが、内部に強い引張応力が入って製品全体が張りつめた状態になっています。
従って傷が内部に到達すると応力の開放が製品全体に及んで図5に示すように爆発的に破損し破片が広範囲に飛び散る危険性があります。 |
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図5.全面物理強化の破損時 |
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イオン強化について |
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1. |
イオン強化の原理 |
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イオン強化は、カリウムイオンの入った水溶液にグラスを接触させて熱を加える事によって、ガラス表面のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換する事で、ガラス表面に圧縮応力層を形成させる方法です。カリウムイオンはナトリウムイオンより大きいので、ナトリウムイオンの抜けた穴をより大きなイオンで塞ぐことで、より強い圧縮応力を分子レベルで得られるのです。(図1) |
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図1.イオン強化の原理 |
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2. |
イオン強化の種類 |
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イオン強化には、口部イオン強化と全面イオン強化があります。 |
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(1) |
口部イオン強化 |
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カリウム水溶液をグラス口部のみに接触させて、グラス口部のみを強化する方法です。 |
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(2) |
全面イオン強化 |
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カリウム水溶液をグラス全面に接触させて、グラス表面全体を強化する方法です。 |
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3. |
イオン強化製品の特色 |
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(1) |
口部イオン強化製品 |
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・ |
耐久性 |
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グラスの強度が弱い口部に対してイオン置換による強化を行なったもので(図2)、物理強化に比較して強化層(圧縮応力層)が数μm〜数100μmと薄いのが特徴です。そのため、グラスの肉厚が1.4mm以下の薄肉製品にも強化を入れる事ができます。強化の程度(圧縮応力値)も物理強化と大差がないため、薄肉製品であっても耐衝撃強度が向上します。 |
図2.グラス断面イメージ図 |
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・ |
安全性 |
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口部イオン強化製品は、圧縮応力層が物理強化に比較して非常に薄いため、破損しても図3に示すように普通のグラスと同じような割れ方をしますので、破片が細片となって激しく飛び散るような問題はありません。 |
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図3.口部物理強化の破損時 |
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(1) |
全面イオン強化製品 |
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・ |
耐久性 |
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グラス全体にイオン置換による強化層を施しているため(図4)、どこに衝撃が加わっても破損しにくくなっています。圧縮応力層が物理強化に比較して薄いので、薄肉製品であっても耐衝撃強度が向上します。 |
図4.グラス断面イメージ図 |
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・ |
安全性 |
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全面イオン強化製品も圧縮応力層が薄いため、口部イオン強化と同様に普通のグラスと同じような割れかたをします。
全面物理強化のような爆発的な破損は発生しません。 |
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図5.口部物理強化の破損時 |
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全面積層強化について |
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1. |
全面積層強化の原理 |
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全面積層強化は熱膨張率の異なる2種類のガラスを三層にサンドイッチしたことにより、表面層の透明ガラスに生じる圧縮応力(縮もうとする力)が引張応力(ガラスが割れる原因となる力)を打ち消し、割れにくい状態にする強化の方法です。(図1) |
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図 1.全面積層強化の原理 |
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表面の均一な厚みの透明ガラス層が安定した圧縮応力を生み出し、バラツキの少ない安定した強度を実現します。 |
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2. |
全面積層強化製品の特色 |
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(1) |
強度・耐久性 |
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均一な厚みの強化層(圧縮応力層)が安定した強度を実現、丁寧に扱うことにより長くご愛用いただけます |
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(2) |
割れ方としては、破損に至った衝撃の大きさによって次の3つのパターンがあります。 |
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イ. |
弱い機械的衝撃や耐熱衝撃による破損の場合は、通常のガラスと同じように大きな破片で割れます。 |
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ロ. |
固い床面に落としたり、強くぶつけたりした場合は、細かい破片となって激しく飛散するように割れることもあります。 |
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ハ. |
深いボウル形状の場合は、底が丸く抜けるように割れることもあります。 |
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(注)本素材は、全世界でワールドキッチン社(米国)のみが生産しています。 |
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強化ガラス蓋について(全面物理強化法) |
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1. |
全面物理強化法とは |
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ガラスには、本来引張り応力(引張る力)には弱く、圧縮応力(縮める力)には強いという性質があります。そこであらかじめ表面に圧縮応力を生成させておけば、もし何らかの外力(特に引張り応力)が働いたときにその圧縮応力でお互いに打ち消し合い、強いガラスができると考えられたのが強化ガラスです。
このように強化ガラスとは表面に圧縮応力層、内部に引張り応力層を意図的に形成させたガラスで、この応力により普通のガラスに比べ機械的強度が強く、また熱衝撃性も強くなっています。
強化ガラス蓋については、通常そのほとんどが物理強化法という方法で製造されています。
その方法は下記の通りです。 |
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ガラスは加熱することによりやわらかくなります。
この状態で、曲げ加工するものは任意の形状に曲げ、
その後一気に急冷します。
こうすることによって、内部に引張り応力が、また
表面に圧縮応力が残留します。(右図1) |
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図1.強化ガラスの断面 |
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2. |
全面物理強化ガラスの特色について |
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(1) |
強度について |
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機械的強度 普通ガラスの3〜5倍の強度があります。
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(2) |
耐久性・安全性とご使用上の注意について |
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このように強化ガラス蓋は、普通ガラスと比べて充分高い強度を持っていますので、通常の調理で使用される場合には、割れることはありません。それでもごく希に次のような場合には破損する可能性があります。破損すると細片となって激しく飛散する場合がありますが、強化ガラス蓋に限っては縁をスレンレス枠で巻きつけているため、ステンレス枠のないものと比べると飛散が軽減されます。 |
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a. |
表面の圧縮応力層を突き抜けるようなキズが入ってしまった場合。
⇒ガラスを傷つけるおそれのある研磨剤入りのスポンジ・スチールたわし・クレンザー等は使用しないでください。 |
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図2.キズが入った場合 |
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b. |
急激な温度差(特に急冷)によって、部分的にガラスが膨張(或いは収縮)し、ガラスの耐えうる応力の限界を超えてしまった場合。
⇒鍋から蓋をずらしてご使用にならないで下さい。 |
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c. |
強化ガラスの耐えうる限界を超える物理的衝撃が加えられた場合。
⇒高い所から落とす等、急激な衝撃を与えないで下さい。
(ツマミの部分から落下させたり、床の条件によっては割れる可能性もあります。)
また、ツマミ取り付けには通常パッキン・ワッシャーを使用しますが、これを使用せずにビスで直接穴部を締めた場合等にでも割れる可能性があります。 |
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このサイトに掲載のイラストは会員会社のカタログを参考にさせていただきました。 |
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